耐震強度偽装事件は業者の倫理観だけでなく、制度にも問題があるのは誰しも疑わないとおもう。制度に問題があり自然災害と異なるということなのか、政府や自治体の被害者支援の動きはすばやい。
自然災害と異なり、どこかの誰かに原因と責任があるということだけは確かである。そしてそれは一人ではなく複数である。最近逮捕された姉歯建築士や木村社長・小嶋社長といった業者だけでなく、制度を運営してきたお役所や土建業界や建築業界から経済援助を受けてきた立法府の方々もそうであろう。だからなのか、それゆえになのか、原因追及の矛先にならないように動いている方々がた~くさんいらっしゃるように感じる。
自然災害と異なり全員ではないにしろ少なくとも何人かの悪い奴が判明している以上、その人達が経済的に破綻していても、被害者の救済・損害賠償をしなければならないのはそいつら悪い奴であるのが原則である。自然災害と異なり全員ではないにしろ少なくとも何人かの悪い奴が判明しているし、その人達が経済的に破綻していても、また未だ悪い奴と判明していない人達も含めて、被害者の救済・損害賠償をしなければならないのはそいつら悪い奴であるのが原則である。それを差し置いて公的支援での被害者救済を優先しようとしている動きにはなはだ疑問を感じる。(20 May 2006 修正)
もちろん公的支援は無いよりはあったほうが良い。ただ、この国では(自然災害・人的災害問わず)過去の様々な災害に対して、有効な公的支援による被害者救済をしてこなかった事例が多数あるので、それらの過去と比較すると耐震強度偽装の被害者に対する手厚い公的支援はとても公平とは思えないのだが、これをキッカケとして過去に起こった災害に対してもさかのぼってされて手厚い公的支援で被害者救済するとか、これから起こるであろう災害にも大規模な公的支援による被害者救済をするという意思表明・お約束になるのならば、耐震強度偽装の被害者は手厚い公的支援で救済されるべきである。
水俣病やカネミ油症の被害者に対してどの程度の公的な経済的支援があったか知っているか?
今回の耐震偽装問題に限って手厚い公的支援で被害者救済をするのならば、とてもじゃないが賛成しかねる。
少なくとも公的支援を決めた人達はその原資を全額ポケットマネーで負担しない人達である。公的支援の原資は税金である。もちろん税金だから公的支援を決めた人達も負担しているのだが、税金を支払った人達の多くはその他の人々である。公的支援を決めた人達の懐は痛まない。
行政の責任は?
「当事者の故意または過失による行為で国の責任を問うことは難しい
欠陥マンションの購入者はどこに責任を求めればよいのか?
住宅品質確保促進法により、売り主は住宅の構造上の主要な部分の欠陥=瑕疵(かし)について10年間責任を負う。今回のケースのようにマンション販売業者に「瑕疵担保責任」がある場合は、購入者は売買契約を解除して支払代金の返還を要求したり、賠償請求したりできる。
耐震強度の書類を偽造した1級建築士に対し、民法の不法行為に基づいて損害賠償を求めることも可能。施工業者や民間検査会社に対しても「書類偽造へのチェックが不十分だった過失を立証できれば、共同不法行為を根拠に賠償請求できる」
賠償請求した相手に支払い能力が足りない場合は?
販売業者は、建築士や施工業者に故意・過失の度合いに基づいて負担を求めるとみられるが、関係者が負担しきれなければ購入者が満額受け取ることは難しい。
交通事故や殺人・傷害事件で例え民事裁判によって多額の賠償額を認められていても、加害者に損害賠償を負担する経済力がない場合、被害者やその遺族(債権者)は泣き寝入りが現状。国や自治体などの公的機関がその賠償の肩代わりをする事はない。
2006年2月2日 被害者支援に新法制定を 自民が国交相に提言
自民党の耐震偽装問題対策検討ワーキングチーム(早川忠孝座長)は、被害者支援のための新法制定を視野に対策を検討するよう求める緊急提言書を、北側一雄国土交通相に手渡した。
提言書は、被害住民への支援を円滑にするため、
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相談態勢の充実
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住民の退去からマンション建て替え、再入居までの手続きを進める支援機構の創設
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国や自治体の負担をマンション販売業者などから回収するための特別法の制定
などの対策を盛り込んでいる。
神奈川県 耐震強度偽装対策で公営住宅の無償提供
耐震偽装被害者への公的支援、東京・稲城市が負担拒否
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建築基準法上の責任を負う「特定行政庁」は都の多摩建築指導事務所
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石川良一・稲城市長「責任がない市に対して財政支出を求めるのなら、国は特別措置法で法的根拠を示すべき」
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国は12月06日、偽装されたマンションの住民に対して仮住居の家賃や解体、建て替えなど費用を自治体とともに負担する支援策を発表。都は自治体負担分を区市と折半する方針を打ち出している。
阪神淡路大震災
全壊300万円・半壊100万円
災害被災者に対する公的援助は、「被災直後一週間程度の食事供与」
中越大地震
全半壊世帯17,143世帯の9.6%(2005年09月30日現在)。上限額が100万円
災害発生から1年以上を経過した地元では、2005年9月現在で2,812世帯9,000人以上の方々が仮設住宅での生活を続けている。
そのうち半数は2006年末までには仮設から退去できる見通しがないと答えている。
※ 上限額100万円の県独自制度は75.7%が利用
2005年、台風14号による宮崎県での被害
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死者13名
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家屋全壊1,030戸、半壊2,679戸
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県独自支援は全壊世帯に上限20万円の見舞金支給
三宅島
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全島民に対して100万円を支給
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収入制限あり。1999年度の収入が500万円以下
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2004年の改正で、支給総額の上限を300万円に引き上げ。長期避難特例として70万円の引っ越し代(生活の再開費用)の支給
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全壊家屋の世帯が建て替える場合撤去費用として130万円の支給
問題点
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500万円の収入制限
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家屋本体の建て替え・修理に使えない
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帰島しないで都内の都営住宅に移る人に対しては、長期避難特例を適用外
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高濃度地区の住民には全壊家屋で解体撤去してもそこに再建できないので支給の対象外
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東京都三宅島災害被災者帰島生活支援制度
2005年02月01日避難指示解除に伴って、家屋の修理等に使えるようにということで、150万円を都が単独で支援する制度
問題点
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家屋の修復に不十分
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ダム造成のため土地売却した世帯は適用外
国の主張 ・・・ 自然災害の被害者救済に公的支援をしない理由として
「個人の財産形成につながるものに対して公の金を出すことはあり得ない」
09・11テロ被害者支援(アメリカ合州国NY)
「サリン被害者対策を考える集い」でのアメリカ・ニューヨークを視察してきた高橋シズヱさんによる報告(2005-03-20)
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事件の11日後に被害者補償基金の設立
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遺族世帯に平均1億9千万円、負傷者含め総額6千億円
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心身への影響調査に7万人が登録、20年後まで継続調査し結果を公表するという。
地下鉄サリン事件
サリン被害者対策を考える集いでの高橋シズヱさんによる報告(2005-03-20)
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日本では国による継続調査は行われていない
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サリン被害者に対する補償制度はない
初出 May 18 2006
最終更新日 May 18 2006